前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

終身刑の死角/日本の殺人

終身刑の死角 (新書y)

終身刑の死角 (新書y)

刑務所の社会的役割と刑務官の知られざる仕事内容について、紹介しつつ著者の持論「仮釈放なしの終身刑を導入すると起きる多くの弊害」を展開。ラジオ出演で語られた内容を更に詳細に知る。
やはり秀逸なのは、死刑廃止のフランスでは警官が現場で容疑者を背中から射殺しているようなケース、移民との相互不信の社会に言及して、死刑廃止=先進国ではない法制度はそのまま日本のお手本にならない事を主張しているところ。
加害者の反省と社会復帰よりも、メディアに晒され憔悴する被害者遺族のケアにこそより配慮すべき、にも強く同意。


日本の殺人 (ちくま新書)

日本の殺人 (ちくま新書)

こちらの方が先に出版されて、注目されている模様。
日本国内での殺人事件をカテゴリー分けして、時代と共に変わる殺人事件の状況を統計を使って紹介。嬰児殺し〜、酒飲み悪友とケンカの変化にまで言及。ただ活字となると著者の話術が伝わらないかな?と、内容にも途中で何度もツッコミ入れたくなり。昔読んだ犯罪心理学の大雑把な推論が目立つ。様々なケースがあるとはいえ被害者遺族への言及が厳しいのは意外。


狭義の理屈は分かるが、82年日航機逆噴射事件を大量殺人のカテゴリーに入れるのは??日本赤軍のリンチ殺人は兎も角、海外のテルアビブ乱射事件も他の殺人件数と同列で比較するのは??
メディアスクラムは確かに醜悪だが、過去の冤罪事件をマスコミの性急な解決追求のせいにするは同意できない。
取調べの可視化について、録画に反対する理由もあまりに刑事側に寄り過ぎている。ざんねん。