中国対日工作者たちの回想
- 作者: 水谷尚子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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1940年に周恩来がスターリンに頼んでソ連から供与された中古のラジオ送信機を持ち帰るエピソードや、抗日反戦活動をしていた野坂参三の知られざる言動、国民党側での反戦活動同士のギクシャク。あるいは戦後の日本共産党リーダーたちの北京での対立など。
この本には直接の言及はない【戦後の撫順戦犯管理所で中国共産党の戦犯への寛大政策】は、自分には理解できないまま心に引っ掛かっているけど、これらの証言で知る当時の延安での日本軍人の捕虜優待、手作り感の反戦ラジオ放送。頑固な日本人捕虜を長い時間を掛けて説得していく、自ら罪を認めさせた上で革命の味方にする方法を、この本に登場する元留学生や日本人女性が長く苦心して編み出した、その流れなのかなと。
それにしても整風運動(毛沢東が奨励し全党員を巻き込んだ密告や批判の応酬)は戦時中からすでに酷かった事を初めて知った。
2006年当時の出版社の意向なのか、前作を踏襲してか、本のタイトルがいろんな意味で損をしてる気が。文庫化して欲しい、血の通った聞き書き。