前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

観光コースでないアフリカ大陸西海岸

観光コースでないアフリカ大陸西海岸

観光コースでないアフリカ大陸西海岸

チュニジア/モロッコモーリタニアギニア/シェラネオネ/コートジボワールサントメ・プリンシペアンゴラナミビア南アフリカ
各国の現在までの歴史と、現地での取材を各30ページ前後で紹介した本。


著者あとがきの冒頭には【アフリカは、世界の歓びや悲しみを、過激なまでにリアルな「ショーケース」として展示した場所だ。】


この高文研の「観光コースでないシリーズ」は、日本人に一般的に知られていない歴史的事件や戦争の傷跡、市井の人々の今の暮らしを紹介するのが特徴。よって広大なアフリカの中の10カ国を写真付きで一冊に紹介するショーケース駆け足ガイドなっている。
個人的には21世紀になっても日本人のアフリカ観自体が貧困のまま放置されている不満があるので、アフリカ各国が気候風土も政治情勢も違う事を解り易く簡潔に紹介してくれるこの本の存在はありがたい。ただ出版コストの関係かカラー写真がソフトカバーにしか使えなかったのが残念。
現地の情勢はめまぐるしく変わる事も多いので、長く読まれる本としても取材した年と季節を記して欲しかった。2003年までに取材された事はわかるけど。


赤道直下のギニア湾に位置するふたつの島の小国サントメ・プリンシペの章で、初日は島民たちの撮影拒否ばかりだったのが、翌日から著者が台湾人カメラマンと偽って名乗ると途端にフレンドリーになったという、笑顔満載の写真に困惑する。その理由はー。
1975年ポルトガルから独立した当初は、近隣のアンゴラと強い関係にあり旧ソ連陣営からおもに援助を受けていた。1990年に一党独裁から脱却し、国際関係では1997年に台湾と国交樹立。中国とは断絶状態になるも台湾から資金援助やインフラ整備、公用車や消防車などの寄付など目に見える支援が続いている。人との交流を現地メディアも好意的に扱う事で、国民・島民たちは台湾人への親愛の情を持っているのだ。・・・・。