前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

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イギリス 犬たちの悲鳴

BS世界のドキュメンタリー『イギリス 犬達の悲鳴 〜ブリーディングが引き起こす遺伝病 』 英 2008年BBC制作。


イギリスで創立から135年のケンネルクラブが200種以上もの血統の犬を登録管理、多くのブリーダーが人気の犬種をコンテスト向けに近親交配を繰り返す結果、遺伝病の犬が数多く生まれて苦しんでいる姿を紹介している。
ケンネルクラブの公式ブック【犬種標準】Breed Standardsには犬種それぞれの理想の姿形、色、大きさについて定義されている。これから外れた色や模様のない子犬が生まれると薬殺される例も紹介されている。


番組ではいくつかの犬種の姿を百年前と現在とで比べ、生活が困難な姿形に変えられたり、頭蓋骨の歪められた形をCGで紹介している。一部の航空会社ではブルドック・パグ・ペキニーズなど輸送を断っている。顔の骨格を平面にしたために日常でも呼吸困難に苦しんでいる。犬種それぞれの遺伝病も紹介、心臓に問題、ガン、見た目は健康そうなボクサー犬がてんかんで苦しむ映像も、飼い主の精神的苦痛も伝わる。


小型犬のキャバリアは脳の容量に対して頭蓋骨が小さい事が原因で起こる【脊髄空洞病】を全体の三割が発症する。体全体が痙攣を起し、症状が酷い場合は成功率の低い脳外科手術か、注射で安楽死させるしかない。
愛犬のキャバリアを亡くした飼い主の女性が、遺伝学を独学で学びながら広く一般に病気の啓蒙を続けて、地道なロビー活動で議員に働きかけ関係者会議までこぎつけたり、非を認めなかったケンネルクラブの最新公式文書に、健康重視の改訂が加わったことを番組の終わりに伝えている。