前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

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いのちの声〜コロンビア 誘拐被害者へのラジオ放送

BS世界のドキュメンタリー「いのちの声〜コロンビア 誘拐被害者へのラジオ放送」NHK2009年製作。


コロンビア国内で政府と敵対しているFARCコロンビア革命軍に誘拐された人質に向け、土曜深夜から6時間枠で家族がメッセージを送っているラジオ番組「誘拐された人々の声」と被害者家族のさまざまなケースを取材している。
取材当時に人質として登録されている数は4千人を超えていた。家族の開放を10年以上も待ち続ける人も少なくないという。番組休止の危機を乗り越えながら放送時間を広げている。パーソナリティの男性も元人質だった。政府軍の追跡から逃れる為に、ゲリラはジャングルの中を連れ回すので体を痛め動けなくなる人質も居る。それでも絶望して死なないように人質にはラジオを聞かせているという。
支給された金属タワシを細くほぐして木の枝などに引っ掛け、もう一方をラジオアンテナに巻くと感度が増すという元人質の実演もあり。
誘拐された青年の母親は心配しながら、すでに向こう側に洗脳されているのでは?とも言う。
ゲリラ側の監視役だった女性が、ラジオ放送をきっかけに人質と一緒に政府軍に逃亡するケースも紹介。


50分枠のドキュメンタリーなので、引き裂かれた家族の心情と番組の週一回生放送風景がメインになっている。


再放送予定 BS1 4月11日(土)23時10分〜0時00分




コロンビアは南米でも未だ米国政府からの外圧と軍事援助が大きい。貧しい農村部では若者は選択なしで革命軍に入るしかない状況もあるようで、これほど長年の対立は組織としての腐敗と共存関係を感じさせる。


日本でも戦時中に「前線兵士に送る夕べ」というラジオ番組があった。その存在を思い出したのは最近再放送されたNHK広島開局80年ラジオドラマ「放送を続けよ!広島中央放送局の8月6日」から。
大本営発表の勇ましく虚しい広報と軍歌ばかりの放送のなかで、「前線兵士〜」は遠く離れた戦地に居る家族の安否情報として真剣に聞かれてた状況をドラマのセリフに織り込まれていた。


終戦直後からは戦火で抑留で離散した家族を探す伝言番組「尋ね人の時間」が長く聞かれる事になる。


誘拐や粛清、兵役義務のある社会では、殺されない・生きてるだけで感謝。という祈りに似た感情になるのだろう。被害者家族たちはそれぞれ親近感を持ち励まし合う。
恐怖の中の均衡、なんだか テロとの戦い に似ている。