前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

小李子/サバイバル・ソング

「サバイバル・ソング」2008年 監督ユー・グァンイー 
第9回東京フィルメックス 映画祭で有楽町朝日ホールへ、冬の厳しい中国黒龍江省の僻地で撮られたドキュメンタリ映画を観る。
巨大な省都ハルビンに水を供給する人工池を建設するための山村立ち退きで、木こりと猟師しか通わない荒野になっている地で、廃屋を直し、飼料を育て家畜を飼い、冬には猟をして暮している自給自足の夫婦と、そこに雑用夫のように同居してる中年男性シャオリーズ(小李子)の奇行。ところが薬草園を作る計画地になったと役所から立ち退き命令を受け、目の前で家を半壊させられる。それでもシートを屋根にかけたりして意地でも暮らし続け、猟をしながら暮す。・・・が


電気が無い、ローソクだけの暮らしを写しているので、異常に暗い荒い映像や食卓がよりホームビデオ的な生々しさで迫る。
上映後の質疑応答で、監督はこの作品の能動的な主役である夫のハンさんと軍の部隊時代に一緒だったという。故郷の地方行政の横暴を記録し伝える、と同時に前作「最後の木こりたち」のその後の話、として撮ったという。


なんで日没後にローソクとライトを頼りにハサミで散髪するのか(苦笑)とか、個々の行動にもフツーのドキュメンタリーには無い妙があったりする。
日本のテレビしか視ない人には意外かもしれないけど、自分が旅先の安宿でよく視てた中国中央電視台CCTVのニュース報道番組では、毒食品事件〜中国各地での役所の横暴やら山村や闇社会の話は、規制を感じさせないほど(巧妙に)放送されていた。今回の作品ならテレビ向けに短く編集して放送する可能性はアリかなと思う。
でも編集すると、歌って踊るシャオリーズ抜きのシャオリーズ・・・?多くの都市住民に共感は与えないだろう野生的暮しと【密猟】がネックなのかなと。