前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

ロシア語られない戦争 チェチェン

仕事の休憩時間、うだる暑さヒートアイランド現象を足元のアスファルトで感じつつ、先日買った新刊を読み切ってしまう。
内容はチェチェン独立派ゲリラに同行して従軍した2001年前後の取材を中心に、チェチェンを取り巻く内外情勢の解説(自分の理解は低い)。英国亡命中に暗殺された元FSB(KGBの後身組織)中佐へ生前された単独インタビュー全文など。チェチェンゲリラが起したモスクワ劇場占拠事件をはじめとして、アパート爆破テロにもロシア人側のFSBが関与したという証言が書かれている。その重たい内容が、なぜだか軽快に読めてしまう。


エネルギーバブル経済で好調のロシア、プーチン政権に警鐘を鳴らすジャーナリストが次々殺されても、少数民族が殺されても、日本の主要メディアは扱いが軽くて小さい。イラク戦争を米軍やイラク側の提供するまま観光パックツアーとして垂れ流したメディアの姿勢に憤るのは著者だけではないはず。


関係者に迷惑が掛かると判断して書けなかった話も多い、というなかでも意外な話は多い。著者がグルジア国内で拘束中に、連絡を受けたアゼルバイジャン日本大使館が独自に判断して「外交圧力」をかけ出国を助けてくれた箇所。
薄バカの読み手個人には、どうにも外務省のイメージが悪過ぎるので、現地の外交官がちゃんと邦人保護に働いてくれるなんて夢のような話。ましてや学生でも有名商社マンでもない一個人を。外務省内で出世街道から外れた、メジャーな国に配属されない人ほど有能なのかな?
世襲制で機能不全のニッポンに居てちょっといい話。そんなんでいいのか?