前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

の国民国家・日本

“声”の国民国家・日本 (NHKブックス)

“声”の国民国家・日本 (NHKブックス)

貧民窟の芸人と底辺の大衆を常連客に生まれたという浪花節浪曲。時代と共に変わるスタイルとメディアの変遷、明治末に活躍した桃中軒雲右衛門(とうちゅうけんくもうえもん)と弟子で大陸浪人宮崎滔天、取り巻きの政治団体に焦点を当てて、即製された近代日本の国民=芸人=やくざ たちの特異なモラル形成を語っている。


当時人気の講談も、安い速記本がベストセラーになって演者の脅威になったりとか、明治大正の変化の激しい芸界のはなしも面白い。演者側にしてはたまったものではないだろうけど、柄の悪いお客様と一緒に当時の熱気を体感したい気分になる。
 

悲憤慷慨調の語り口という桃中軒雲右衛門の赤穂義士伝は、他の多くの浪曲師も影響され掛けたという。その後映画ドラマ化と様々なメディアで再生産され、昭和を通して長く大衆に人気を得た「ドラマ」の深い源泉を知る。