賛美歌・唱歌・軍歌
日韓唱歌の源流 すると彼らは新しい歌をうたった(はじめて音楽と出会う本)
- 作者: 安田寛
- 出版社/メーカー: 音楽之友社
- 発売日: 1999/08/31
- メディア: 単行本
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アムール川の源流は外人宣教師が布教に使った賛美歌にある。
明治初期から外国人宣教師が賛美歌やヨーロッパの民謡を日本人へ広め、「日本人のこころのふるさと」唱歌を作った作曲者達へ間接的に教育もしていた。
唱歌は日本の植民地拡大と共に朝鮮・台湾・南洋へと現地人の皇民化教育へ使われ、人々はその詩をつくりかえて抗日歌、愛唱歌にしていく。
歌謡曲「北国の春」のメロディーが中国でも非常に愛される理由として、著者は作曲家遠藤実の少年時代の体験にヒントを視る。ドヴォルザークの交響曲「新世界」から家路のメロディーで、わけもなく泣けた。という自伝から北国の春との繰り返す旋律の共通性を見るところが面白い。
「星影のワルツ」のメロディーは有名な唱歌「港」が起源だという。
西洋音階に出会うまで日本人の音感はドレミファソラシド7音階のうちファとシを抜いた5音階が主で、二拍子・四拍子が多く、三拍子は当時に輸入された。賛美歌を教えようとした宣教師達は暫らく日本人が音痴だと思い込んだ。5音階の賛美歌曲なら上手に歌える事が判ってから選曲され、のちの唱歌や五音階の多い軍歌へ繋がって行く。
古い賛美歌から「君が代」が作られているのは有名だけど、スコットランド民謡から「蛍の光」が生まれ、韓国では詩を変えて愛国歌として、映画の日本人要人暗殺のシーンで使われたりする。さようなら〜って意味なら合ってるけど・・・
3拍子唱歌でも日本では「港」形の旋律パターンが好まれるのに対して、韓国では「美しき天然」と「真白き富士の根」の旋律パターンが愛され類型が多いという。
そういえば以前「美しき天然」はETV特集でも各地の朝鮮族へ歌い継がれる現在が取上げられていた。