前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

満鉄地質調査所

満鉄地質調査所私記 松田亀三 博栄社 1990年刊


図書館の閉架から読む。明治末生まれの地質屋さんの満州時代の仕事が記されていた。年号と調査箇所と調査者メンバーの名前が列記(手書きで修正箇所も多数)されている。
後世の人へ満鉄の事業を再評価して欲しいという執筆の動機。しかし読者が地質の専門知識を持っていることを前提に書かれてもいる。終戦直前には南方方面(現インドネシア スラウェシ)へも調査出向。web上にある地質学会の公開資料にも著者の研究のほんの一端が読める。
中国東北部での天然資源の探査と埋蔵量の試算をして、事業化計画の元を作成している。ボーリングや坑道のほかにも、満洲各駅の駅長に『変な石があったら送るように』と伝えていて、それが未知の鉱脈を見つけるヒントにもしていた。


満鉄地質調査所の前身は、明治40年4月創設の南満洲鉄道会社ー鉱業部地質課として、撫順炭鉱の開発調査のために設けられた。活動期間は31年間。金鉱27ヶ所・砂金鉱床900ヶ所・鉄鉱床 約500ヶ所・炭田大小500ヶ所・その他工業原料、窯業原料産地を調査。


現在も続いている主な業績として結びに書かれているのは、

鞍山鉄鉱床の発見       明治42年8月
大石橋マグネサイト鉱の発見  大正3年
撫順炭田油頁岩からの製油事業 大正10年
礬土頁岩(ばんどけつがん)の発見とアルミニウム精錬事業 大正13年
三姓炭田の発見 昭和9年