1989・1995
- 作者: 有田芳生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/03
- メディア: 単行本
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「テレサ・テン」としての日本での活動と興味深いヒット曲秘話も詳しく書かれているけれど、本題は「訒麗君」として1989年の天安門事件前後の行動と苦悩を再現しているところだと思う。あらゆる時代「歌姫」と呼ばれる存在は、大衆を無限大に励ましたり酔わせる半面で、時の国家や政治に生贄のように祀られる運命なのかな、とも妄想する。付録のミニCDには1989年天安門事件での殺戮前に、民主化運動支援として香港ハッピーバレー競馬場で行なわれたチャリティコンサートに、悩んだ挙句飛び入り参加した時の歌声と、来日した時に取材された日本語インタビューの一部が肉声で収録されている。CD収録分での最後の言葉はとても強く残る。故人の尊厳を大切に思っている編集出版だと思う。
中国の民主化を望んだのは確かでも、故人を美化する楽な方向に文章が進まないのも好い。
95年の急死報道で加熱した憶測やスパイ説デマにも、情報源や証言者を取材して白黒決着を着けている。
気軽にコレ貼るのは躊躇するけど一応・・・、
視たけどさ それがどうした YOUTUBE と思いつつ、民主化支援チャリティコンサートで本のタイトルにもなっている「我的在山的那一邊」を歌う姿。
http://www.youtube.com/watch?v=P49M1VJlt74
本書によると元歌は日中戦争、抗日戦線の中で作られたものだそう。
日本で未だにカラオケ根強い人気の「愛人」の詩を最初に読んだとき、テレサは反発したという。この逸話はなんだかホッとする。
1989年は振り返るたびに激動の1年だったと思える。急逝した1995年は災いが重なり過ぎだし、今年2007年はさて。