前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

邦題無法地帯

陰惨なドキュメント本と同時並行で、楽しく読んでいる「日本語から学ぶ中国語・中国語から学ぶ日本語」は日中の言葉の構造の違いをエッセイ風に書いてある。このなかで秀逸な邦題として紹介されているのがサム・ペキンパー監督の戦争のはらわたで、不意打ちを受ける。なにしろペキンパー崇拝者には醜悪な邦題として名の通った作品だから。原題直訳は「鉄十字章」、確かに健全な市民には解りづらい。健全な市民が地上に居ればの話。そんな雲を掴む様な話を貴様〜バシッ!自分の頬を叩く音


77年日本公開で80年代から名画座で2〜3回観た。第二次大戦中の敗色濃いロシア戦線を舞台に、ジェームズ・コバーン演ずるシュタイナー軍曹率いるゲリラのようなドイツ軍小隊が、勲章目当ての上官に捨て駒にされる戦場を描いている。後年の戦争映画を変えたと言われるプライベートライアンと同じジャンルでも比較することは無理。ハリウッドスター演じるドイツ兵はどうしても滑稽だし、軍の所属とも思えない活躍ぶりは古の活劇でもある。ラストに味方から機銃掃射を受けるシーンは、意味するものが違っていても名作「ワイルド・バンチ」の焼き直しに思える。ペキンパー本を読むと制作費や監督の精神状態の突き当たりに出した苦肉のサービスカットかもしれない。
それでも敵から奪ったドラムマシンガンのバラライカを愛用したり、ロシア軍の女性兵士を口淫させて一物を喰いちぎられるシーンは脳裏に焼きついている。いたたたた。


時系列を誤解していた。ホラー・カルトのジャンルでヒットしたサム・ライミ「死霊のはらわた」は後年の作品だった。73年アンディ・ウォーホール監修「悪魔のはらわた」がこの邦題シリーズ?元祖らしい。