白人とは何か?
白人とは何か?―ホワイトネス・スタディーズ入門 (刀水歴史全書)
- 作者: 杉本淑彦,山田史郎,細川道久,原田一美,村上雄一,藤川隆男
- 出版社/メーカー: 刀水書房
- 発売日: 2005/10/01
- メディア: 単行本
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推奨本の一冊を読む。
随分と大風呂敷な研究(初頭に書いてある)を民博で研究している共著紹介もの。白人そのものの概念が語られて来なかった理由に、支配者としての上流のみに光を当てられていた事があるという。自分には社会学にみられる抒情派な文が苦手でもある。
■17章『映像文化と白人性ー テレビの中の民族とイメージ』
観光推進CMでのお客である白人家族役とか、米国TVドラマでの白人中心世界など、触れられているのは研究の一部紹介なのだろう。CMや映画を通しての面白い研究本を望む。
■■18章『多分化主義のなかの白人性ー オーストラリアの多文化主義論争から』
文化人類学者ガッサン・ハージの『ホワイト・ネイション-ネオ・ナショナリズム批判』からの要約紹介に唸る。レイシスト(人種主義者)をひと括りにせず、異国ではおとなしい普通の観光客として振る舞い、自国のみでレイシストになる存在を指摘する。多文化主義好きにも容赦なく「ものわかりのよいコスモポリタンな白人」を演じるナショナリストだと呼ぶ。先住民や移民の文化は、博物館などに収納されている伝統的で飾りの『死んだ文化』のみを彼らは管理下で擁護する。とバッサリ指摘。
殺しておいて「死んだ伝統文化」収集と賛美、疑念を訴えるのは以前読んだアイヌ関連本にも見られた。この辺が今の自分の興味の対象になっている。