前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

文化大革命十年史(上・下刊)

文化大革命十年史 (上) 文化大革命十年史 (下)

ありとあらゆるスローガンの数々とリンチと江青のヒステリーに読んでいるだけで感覚が麻痺してしまう。
文革の異常さは中国に限った事象ではない。冒頭に書かれているようにフランス革命での反革命という名の大量のギロチン刑にみられる時期にも似ている。個人的には隣国北朝鮮へ飛び火した粛清や、ポルポトとの連動、世界中の学生運動マオイストなどへの影響も知りたし。


関連本を何冊か読んでいるので、なぞる所もあるが、基本的には中南海での熾烈な権力闘争が中心かと。扇動されていただけではないと言わんばかりに、中国各地での抵抗の事例も数多く記載している。特に76年の第一次天安門事件の数日を詳細に載せている。毛沢東批判を書いた増補部分もあるが原本は86年に出版されている。
やはり文革終了から批判までには十年かかっている。この年製作の中国映画でも文革をとらえた名作が多い。日中国交正常化文革時代なんだなと再認識。


子供だったので記憶はアヤフヤだけど、後のシルクロードブーム以降しばらく、日本でも文革の内情は伝えられていなかったハズ。
人民日報を見ると今年が鄧小平 生誕100周年で再評価イベントが各地で目白押しの模様。息子は文革時代のリンチで半身不随になったという。水に落ちた犬を棒で叩く、その後で聖人として祭り上げているのだ。
荘子の説話に出てくるような、気まぐれな民への退いた視線を思う。