前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

満州の記録

満州の記録」満映フィルムに映された満州
ISBN:4087811212
ロシア国立映像資料館に保存されていた旧満州国の、
主として「満映のニュース映画」をスチール化し、
資料として紹介するものです。【冒頭文より】


実験国家としての満州と宣伝活動の記録、
国家の記録というものはあらゆる五感を痺れさせる。
計画都市や民族融和政策「五族協和」の綺麗な部分。裏のドタバタ。
有名人では、当時放送局で働いていた森繁や、
満州小国民だった山田洋次監督と来嶋靖生歌人)の思い出対談
も収録。元李香蘭山口淑子の話…等々。


シム・コロニーと安易に名前を附けたくなるほど、
複雑な喜怒哀楽の記憶がこの本に封印されている。
満鉄「特急あじあ号」などを懐かしく誇らしく語られている。
冷暖房完備、自動ドア!豪華な食堂車にはロシア人ウエイトレス・・・など
鉄道軌道工を3箇月短期経験した自分には、
鉄路を轢かされた連中の苦労に哀悼の意を。
想像するだけで全身に疲労だよ!
90キロ近い枕木を肩に担いで歩いたとき目の前がモノクロになったよ。
保線の為のレール補正だって重労働だぞ。
寒暖が激しい大陸の気候ではレール自体のメンテも大変だろう。
「敗戦後、日本に引き揚げてきて、日本人が車を曳いてるのに吃驚した」
という子供の素直な感想は、植民地での日本人の地位を物語っている。


この本は各人の立ち位置がバランスよく編集されていると思う。
史実にナツカシ病が演出する事はやむをえない。森繁など特に。
それでも、記録や言説の一部をより集めて、当時の日本はよい事をしたと
よかった探し」を続けるのだろう・・・かっこ悪い。