前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

ルポ 差別と貧困の外国人労働者


第一部 中国人が支える、日本の底辺重労働


日本各地の人手不足と高齢化に悩む有名ブランド野菜の農産地、畜産、水産養殖、海外の製造業には人件費で到底勝てない零細縫製業などの現場で、外国人研修・技能実習制度を使い、中国人労働者を派遣して最先端の技術を日本で学ばせるなどは名目上で、不当に安く働かせてトラブルになっていた。


中国国内から日本への送り出す為の専門学校、時給300円で毎夜残業を強いられる研修生の簡易宿舎、待遇改善を訴えると受け入れ側は強制帰国を強行する、暴力に抵抗するさなか監禁場所から命がけで逃げる労働者たち、中国人ブローカーを刺殺した受刑者にも何度も面会して綿密な取材を積み重ねているルポ。


研修生とトラブルになる日本人の受け入れ側に通底する共通認識が、中国人になぜ正当な賃金を払わなければいけないのか?という疑いなく見下す姿勢。雇用側のゲスな特権意識は視察先での集団買春や、雇用者へのセクハラや繰り返すレイプの動機にもなっているのだろう。中国大陸から労働者を送り出す中国人ブローカー側の、貧しい労働者の希望をビジネスの駒としか考えていない冷徹ぶりも伝わってくる。


第二部 日系ブラジル人、移民たちの闘い


日系ブラジル移民の工場労働者と、リーマンショック直後からの雇い止め、切り捨てされている境遇を伝える。帰国した労働者を追ってブラジルへ。まだ日本国内に留まり介護や農業など違う業種で生きがいや活路を見出す人々も追う。


2010年6月刊行の本書は、裁判を含めて外国人労働者をとりまく最近の状況はどうなのか気になってしまう。
さいわい ここ数年の近々の動きは「のりこえねっとTV 」2014年11/24放送回 40分頃から語られている。