ビラルの世界
オーディトリウム渋谷で「ビラルの世界」(2008年)
ビラルの世界
走る、転ぶ
もらす、抱きつく
叱られる
手をつなぐ
カルカッタの路地
ビラル、3歳
【作品紹介より】
上映後に監督とのゲストトークに野中章弘さん(アジアプレス・インターナショナル代表)
北インドの過密都市カルカッタの路地にひしめき合うように連なるイスラムコミュニティに、盲目の両親と3歳のビラルと赤ん坊が暮らす。子供の目線でカメラが迷走するシーンに、子ども時代にいろいろなところに頭や身体をぶつけた記憶が読みがえる。子どもを叩くのは親だけではない。子ども同士のケンカ、勉強を教えてくれる年上の子からもひっきりなしに叩かれる。観客は映像を見ながらビラルがケガをしないかと思う、そんな心配をよそにビラルは気まぐれに飛び跳ねて交通量の多い街もフラフラ歩く。
自分がカルカッタに初めて入ったのは1990年夏。貧乏旅行で安宿街のドミトリー、ガイドブックから切り取った地図をポケットに入れ、熱中症ぎりぎりまでデタラメに歩いた。案の定腹もこわした。
現地で強引な英語ガイドの青年と2日だけつきあってもらった、そのときに言われた言葉が今も忘れられない、どうして反論しなかったのかと思い出しては後悔している。「君はインドの汚いところがみたいんだろう?」
日本人旅行者にかぎらず、自分たちは小綺麗だと思い込んでる外国人への現地人なりの正直すぎる反撃だった。今もこの偏見のニーズは変わらないのかも。