前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

テレビに挑戦した男 牛山純一

オーディトリウム渋谷で【テレビに挑戦した男 牛山純一】上映後、ゲストトークを聴く。
長寿番組「素晴らしい世界旅行」などで知られるプロデューサー故牛山純一を知る関係者たちから聴く牛山作品の制作風景。


日本テレビ開局第一期生として仕事をはじめ、皇太子美智子妃ご成婚パレード中継での指揮。NHKのドキュメンタリー番組「日本の素顔」に対抗して始まった「ノンフィクション劇場」では大島渚新藤兼人土本典昭など当時の若手に撮らせる。短く紹介された映像はどれも緊張感があった。


初の戦地取材「ベトナム海兵大隊戦記」65年初回放送で残酷など賛否反響が大きく3回シリーズが放送中止になる。当時撮影したカメラマンの石川文洋氏の証言は、時を経た今も戦場の生々しい高揚感と麻痺が伝わってくる。


社会問題を撮るドキュメンタリーから娯楽へと方向転換したと思われた「素晴らしい世界旅行」シリーズは牛山がベトナム戦争で痛感した、他国に住む人々の普通の暮らし文化を普段から知っていることの大切さを番組として企画したと・・・


リアルタイムで視ていた子どもの頃にはそんな遠大な意図が込められているとは知らず、未開部族の回などは、恣意的な演出は感じられなかったものの、やはり珍奇な風習が素直に面白かった。


長寿番組が終わってからも、これから先、市民が利用できる映像アーカイブの施設を企画したり、一部実現している。時代よりも10年先行している牛山純一の遺産は龍ケ崎市中央図書館と川崎市民ミュージアムで視ることが出来る。


ゲストトーク対談やパンフレット巻末で、上映作品に使われている牛山純一の番組映像を使用料として日本テレビに払っている事を知る。ディズニーなど半永久的に主張するような著作権よりも、年数で区切ったり資料映像として自由に使える「フェアユース」のルール作りを進めるべきだと思う。