ラーゲリのフランス人 収容所群島・漂流24年
- 作者: ジャック・ロッシ,ミシェル・サルド,外川継男
- 出版社/メーカー: 恵雅堂出版
- 発売日: 2004/09
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
ジャック・ロッシ(1909〜2004年) 裕福なポーランド人の父親とフランス人の母との間に生まれ、青年期から共産主義の理想に傾倒し第二次大戦前のヨーロッパでソ連の対外諜報活動に関る。しかし粛清吹き荒れるソ連国内に呼び出されスパイ罪の宣告を受けシベリア各地の強制収容所に送られる。国外に出られた時には四半世紀過ぎていた。この本『ラーゲリのフランス人』は生まれてから晩年までの生涯の記録。
著者は多数の東洋言語を学んでいたので、収容所の中で聞いたロシアのヤクザ用語〜ラーゲリの諺まで、密かに記録したカードにはチベット文字で書いたとのこと。中南米から日本人捕虜まである時期の収容所には世界中の民族が隔離されていた。
多言語を操る能力と似顔絵描きなどで、他の囚人と比べて長期の重労働にはつかず、酷い拷問も比較的少なかったという。後年に長く自由世界で暮してもラーゲリ・強制収容所の記録を編纂し発表する責務を自らに架した。
『さまざまな生の断片〜』の増補版はフランスでベストセラーになった。それでも彼の真意はあまり理解されなかった事を終章で知る。これらは単純なソ連批判本ではない。
90年代にライフワークである本が日本語訳で出ている。
『さまざまな生の断片 ソ連強制収容所の20年』
『ラーゲリ註解事典』
人間の造語能力には文化大革命の用語と同じくらい驚き呆れる。
支離滅裂な単語ひとつで人は人をなぶり殺しにもする。
21世紀のテロとの戦いも同様。