巣鴨撮影所物語
巣鴨撮影所物語―天活・国活・河合・大都を駆け抜けた映画人たち
- 作者: 渡邉武男
- 出版社/メーカー: 西田書店
- 発売日: 2010/11
- メディア: 単行本
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初期の映画女優は本物の女性ではなく芝居小屋の女形が出演していたという。芝居小屋に短い無声映画をはさむ連鎖劇、無声映画に字幕が付いて人気弁士が失業、さらにトーキーと流れる映画界。
関東大震災の復興事業から財をなした土建業の社長、河合徳三郎が映画業界に興した暴れん坊一代記としても読める。自分の娘を三人も女優としてデビューさせたり、撮影現場では本物のピストルで威嚇したり、時に俳優を切り刻んだり。他社の映画監督、脚本家、マキノプロの人気俳優の引き抜き工作と、ケチケチ経営で逃げられたり。
引き抜かれても在籍期間は短かったロイド眼鏡の杉狂児。河合〜大都映画の看板女優 琴糸路。名物珍優の大岡怪童と大山デブ子。
満映に渡り脚本・監督をした元アクションスターのハヤフサ・ヒデトの冒険物や、原作の大宅壮一が現地にまで行ったというモンゴルロケの「地平線」もフィルムがあれば見てみたい。当時を知る関係者の証言は極めて貴重だと思う。