前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

ダルフールのために歌え

ダルフールのために歌え SING FOR DARFUR2007年制作オランダ・スペイン
今回の東京国際映画祭2008のなかで一番期待して観た。上映後に来日している製作者達への質疑応答あり。


スペインの国際都市バルセロナダルフール救済チャリティコンサートの当日、街を行き交う多人種の人々が路で接触する度、カメラが被写体をサクサク変えていくモノクロ映画。総勢40人+1匹。黒人、日本人や中国人も。
ストーリーは綺麗にまとめず日常人々の頭のなかの『ダルフール』をつないでいく感覚。瞬間風速的な報道への無関心だったり、アフリカ向け慈善事業への疑いだったり、どこかのファッションブランド名と勘違いしてたり。最初と最後で登場人物が円環する。
西側世界の無関心さを皮肉るようでいて、老練なタクシードライバーとお客との会話が、この映画のメッセージになっている。
現場発のドキュメンタリーが多い中で、この映画に出てくる日常の人々が言うノイズ達は今まで無用のものとして描かれてこなかった。




80年代のエチオピア飢餓救済キャンペーンで『WE ARE THE WORLD』が流行した頃、世界銀行エチオピア政府の借金をカタに綿花しか作らせなかった政策も飢餓原因として報じられた(今もあまり知られていないかな?)。巨大な国連組織の怠慢と政府間の援助ビジネス、果ては爆撃しながらパンを撒く『テロとの戦い


戦災や飢餓を広げて、平和と救済活動を歌う、この西側世界の共犯者として胃が痛む。もうこれ以上世界の悲惨な状況を知りたくない(感情の許容量を越えてる)と思う一方、せめて自分が帰属してる政府や企業が利権目的で行う、諸外国への傷口を広げるような行為だけは止めさせたい。