前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

チベット、私の故郷

日本に暮しているチベット人女性の著者が、子どもの頃に一緒に暮した甥と再会し、二人旅で寄り道しながら帰郷する旅エッセイ。
明らかにフツーの旅行記とは違う内容。日本との比較もあり、チベットの伝説紹介もあり、たくましく生きている甥の体験までチベットの今に織込まれている。子どもの頃の苦い記憶であるチベット文化大革命の嵐は、貴重な証言だと思う。
幹部の指導のもと信仰厚い村人たちの手で寺が破壊された話は、肉親同士だからできる懺悔の告白と思う。
一緒に働き暮している人々にとってチベット人・移民漢人の民族感情が複雑怪奇なところも伺えて感慨深い。商才に長けた回族への感情も言われてみればナルホド。各地で見られる中国人・日本人観光客の奇行も・・・。


中国『国内』のチベット仏教中国共産党に弾圧・管理される一方で、海外の華僑やチベットで商売を成功させた漢人の中には、各地の活仏に帰依して寺に寄進をする者も居るという。自治区とは名ばかりの酷い実態でも、こういう複雑な内情を知るほど、ある種の言い切りは出来なくなって困る。


北京五輪の今年は特にチベット人ウイグル人にとって息苦しい年になってしまった。