前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

地図から消えた町プリレチヌイ

BS世界のドキュメンタリー シリーズ・プーチンのロシア から先月再放送分を観る。2006年ノルウェーMotly制作の『PRIRECHNYY』プリレチヌイ 地図から消えた町
ノルウェー国境に近いロシア・ムルマンスク州北西部にある町が10年前に行政機関の決定で存在を抹消された。かつて1960年代にボストーク鉱山の労働者のために町が造られ栄えたプリレチヌイ。今や錆びれた集合団地に残って暮している60人に満たない老人達を2003年から三年間取材したもの。老人達の語りに時折当時の映像や流行歌が効果的に挟まれる。老人のそれぞれが語る過去、今の隣人達とのおつきあい・愛憎なども。末期ガンの息子を看取るため、孫家族に会うため、外の世界に出る老婆たちにも取材は同行していた。


日常の野菜などは畑を耕して自家栽培(これは年金暮らしのロシア人に多いと聞く)。バスは週一回のみ、ニーケリ(Никель)という大きな町へ往復していた。電話回線は使えない、電気はまだ通っているのでなんとなくテレビを視てたり。独りの老婆は鳥に餌をやり樹に話し掛け、水は小川に汲みに行く、体形は違うけどまるで赤毛のアン。自分の世界を持ってるって凄い。
極北地区なのに暖房は・・・
冒頭にかつての映画館の窓口で切符の応対をする老婆のたたずまい。当時の仕事をねぎらう老夫婦の会話が自然と絵になる。妻は町の保育園で働いて、流行歌の歌詞の通り、夫はウクライナドネツクから来た青年だったのかなと。


資源エネルギー確保のため作られた町が行政の手で捨てられている。こういう風景は恐らく日本にもあるだろう。身近に在る所には関心が向かわずに、『絵になる』とか思って視てしまう。