即身仏さまざま
BS朝日『牛山純一20世紀の映像遺産』から【生きながらミイラになる】1976年制作を視る。
山形の出羽三山にある真言密教系の即身仏とその周辺。
湯殿山大日坊に安置されている真如海上人と注連寺の鐵門海上人のミイラ、今現在の信仰を映像に撮っている。江戸の末になぜ生きながら餓死してミイラになったのか、衆生の救済祈祷と共に日本の密教の開祖・空海の即身成仏伝説を知る。古今東西、名僧には真偽のわからない逸話が多いけど、即身仏の生前の業績には飢饉時の救済や、学校(寺子屋か)への寄付、生活道路作りなど社会貢献も多く伝えられる。生身の人間が即身仏に至る修行と緩慢なる餓死の行程も紹介(web上の複数サイトに親切な説明あり)。
番組には昭和25年に行なわれた学術調査のフィルムから奥州藤原氏四代のミイラも紹介していた。内臓が無いので遺体を加工した人工ミイラとの事。さらに時代を遡って中国大陸の長沙郊外での後漢時代の馬王堆漢墓の映像もあり。
近年、台湾の即身仏の紹介も。故人の顔を模した金箔の仮面をかぶっていた。
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明治大正の頃、博覧会向けなどの客寄せに興行師・ブローカー(ランカイ屋)が各地の即身仏を寺から持ち出す。それも奥州ゲテと呼ばれ。戦後の一時期も持ち出しはあり、興行中の遺体の損傷が問題になる。寺側は『出開帳』と言うらしい。
羽黒派修験道の即身仏『万蔵』は個人(子孫)の家にあって門外不出の秘仏だったが、学術調査と偽られて文献と共に持ち去られ未だ行方不明になっている。
中国南禅の高僧即身仏『石頭希遷(せきとうきせん)』が横浜の曹洞宗総持寺に居る事を冒頭に短く紹介されている。(web上の情報では革命紛争からの避難・盗まれた と日本に移送された経緯は日中双方の言い分が違う)
村の観光資源として掘り起こされたケースも紹介されている。土中に居る無名の即身仏たち、なにか17年に一度地上に出るセミを想起。
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普遍性がある話とはいえ生者の祈りは恐ろしい。