前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

下一站天后

『下一站天后』 2003年香港
Twinsのシャーリーンが主演の香港芸能界にんげんドラマ。
実在の駅名アナウンスを掛けた『次は歌姫』タイトル名の主題歌はCDアルバムを聴いてからのお気に入り。詩を入れ替えた北京語曲『莫斯科没有眼涙』の元にもなっている。楽曲・映画・オリジナルMV・合唱/独唱と多品種な展開も凄い。

コンサートDVD【一時無兩】を先に観たので、この映画のストーリーでコンサート演出になるほど納得。梁洛施(イザベラ・リョン)がこの曲のゲストでワンコーラスをソロで歌う。映画の役では歌がダメなタレントだったけどコンサートでの歌声は綺麗で可愛らしい。彼女のバージョンでも曲は売れたんじゃないかと映画の設定台無しな方向へ妄想するのも楽し。





これから下はめんどうな誤解を与えそうなので注意。


アイドル映画なのに鑑賞後は雑念を引き摺る。
ハッピーエンドに好意的なくらい日本を舞台にしてくれてもいるけど、業界の大物としてステレオタイプな日本人男性の振る舞いがイタイ。今まで物腰柔らかくおとなしかったのに、いきなりキレて暴力をふるう。業界のバックにヤクザが居る設定・・・はお互い様で正確だけど。映画では関西弁で怒鳴ってタレントの女性をぶつ。女性に手をあげるこの描写は珍しくもなく海外の映画に多い。自分を含めて多くの日本人が違和感を感じる突如豹変の描写は、出来の好い映画『鬼が来た!』でも宴会から虐殺に至る瞬間に不条理に起きる。でも向こうにとっては正常な日本人観らしい。


男女間の暴力は愛情の裏返し、とかも自分にとっては到底理解できないけど、知識人に高倉健任侠映画に視られる当時の美学を教えて貰う。不器用な男が耐えて耐えて〜最後に男の怒りが爆発!なるほど、日頃から口下手と言っては不満を溜め込んで、無理に度量の大きい男を演じているのが、自ら我慢の限界に達して犯行に至る。そんな内に秘めた美学は外人だけじゃなく誰から見ても恐ろしい。ジャップのブランドにはジキルとハイドのラベルがもれなく付いてます。