前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

至福の焙煎 嗅覚と時間

珈琲愛飲歴あばうと二十五年、焙煎したての「コーヒー」がこんなに違うとは思わなかった。


雨で自転車通勤をあきらめ土曜の空いた地下鉄に乗る。生きる活力こと手持ちのコーヒーが消費寸前だったので、帰りに前から気になってる店へ寄ろうと決めていた。今の仕事場には時折、焙煎の香りが漂ってくる。すぐ近くの商店街に焙煎して売る珈琲専門店からの〜。


夕刻、店の窓側には普通の喫茶店のようにテーブルと椅子が視える。店内に足を踏み入れると左壁側に焙煎用のゴツイ機械類、マスターと従業員が居て、カウンターを挟んで右側にCOFFEE樽を低く切った中に生豆の各種実物と、わかり易い売れ筋ポップ説明が並ぶ。焙煎した作り置きを売るのかと思ったら200グラムでも注文してから豆を煎り始める店だった。客は座って出されるコーヒー(サービズ)を飲みながら待つ。20分程と言われたけど実際は待ち時間の感覚が薄い。電話で注文して後で取りに来る常連も、散歩の途中の常連も居た。火力と攪拌の音、煎られてパンパン跳ねる音が店内に響く。芳香よりは焦げる匂い。だんだん稼動する工場のノイズのようでワクワクする。


二種類の豆を頼んだからか、初回の客だからか、マスターが煎りたての豆のそれぞれ特徴と違いを見せてくれた。簡潔な説明の通り片方は油脂分が表面に浮いている。それからペーパー用に豆を挽いてもらう。芳香が放出される。ここからはお馴染みの風景。


冬の土曜の日没後、地下鉄一両目に自分のディバックから焙煎挽きたて直後のそれが芳香する。気を遣うくらい。


最初の蒸らしにお湯を注ぐと膨張する粉の盛り上がりが今までと違う。味覚だけでいうと今までと比べて格段に美味、とは言えないけど、五感のトータルで言えば別次元の美味。ズバリ神は居る!


3日経った今、香りは今も土曜の夕刻を微かに維持。