前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

タイアップの歌謡史

タイアップの歌謡史 (新書y)
タイアップの歌謡史 速水健朗 著


薄い新書ながらレコードの戦前からCDとネットで楽曲購入の現在まで、ヒット曲のタイアップと作られ方の変遷を記している。


戦後の広告と映画と流行歌を同時に売るタイアップは、当時の業界では『コンビナート作戦』と呼ばれていたそう。なんだかケミカルな刺激臭がして素敵。
歌手フランク永井の代表曲『有楽町で逢いましょう』は米映画(ラスヴェガスで逢いましょう)から拝借したキャッチコピー、1957年5月そごう百貨店の有楽町進出のキャンペーンが終わった後に、大映平凡社・ビクターの三社のタイアップで小説・レコード・映画が作られたとのこと。


放送局と芸能プロダクションとレコード会社の番組制作の関係やドラマからCMまで、関係書籍から証言を集めて判りやすく再現している。
橋幸夫『恋のメキシカンロック』の歌詞のなかに東レの 新商品カラー色とのタイアップもあったりする。当時のヒトは気づいたのか不明。
1970年大阪万博での非公式キャンペーン曲、三波春夫『世界の国からこんにちは』は新聞の公募で詞が選ばれて開幕よりも3年も前に発売されていた。


JPOPはもちろん、その前のニューミュージックというへんてこなネーミングの出所についても言及があって面白い。
成功した観光キャンペーンには必要不可欠なヒット曲の系譜もなかなか。



自分が生まれる前の流行歌には架空の郷愁が脚色されている反面、八十年代以降のヒット曲は嫌いだったりする。当時の嫌悪感はだいぶ薄らいでいるけど。