前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

中国農民の反乱

農民を取り巻く問題を各章で判りやすく紹介。この本で再認識したのは、痩せた土地での地元有力者による搾取・出稼ぎ先での農村戸籍の不当な待遇。


裕福な家庭の子息が通う私学エリート校と対照的に、親が地方出身で都市戸籍を持たない子供が通う北京の民工学校が取材当時123校あり、約1万六千人の生徒が通う。流動児童少年とも呼ばれ、国の援助も無い学校は教師の給料も保証も僅かで工場跡地を借りたりして、立ち退き移転も多い。親の収入は少なく、田舎の学校の寄宿舎に預ける方が学費が安い。


ドキュメンタリー【おかあさん早く帰ってきて 中国・出稼ぎ村の子どもたち】で写されていた四川省の村の満杯な寄宿舎を思い出す。ただこの本によると河南省のある中学校宿舎でシングルベッドに子ども(といっても中学生)が4人寝ていたり、絶対数が足りないトイレで一時間以上も並ぶケースが紹介されている。
痛ましいニュースでは2001年3月に起きた江西省宜春市万載県 芳林小学校での爆発死亡事故のケースもあり。恐らく学校の運営資金を捻出するために、教室で爆竹製造の内職を子ども達にさせていたのが原因だった。


以前読んだ【中国農民調査】で詳細に書かれていた、村単位で行なわれている地元有力者の不当な名目の税金取立て、土地の強奪・強制立ち退き〜中央への直訴の現状もいくつか記されている。


6章 中国民主化の実験 では農村発の両票制を紹介している。党員だけでなく民選の郷長・鎮長の選挙の実例も紹介。ただこの動きは鎮静化しているそう。