前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

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華北5つの 村から中国を読む

村から中国を読む―華北農村五十年史

村から中国を読む―華北農村五十年史

1940年に中国華北地方の農村社会を訪れ聴き取り調査した満鉄調査部の『北支農村慣行調査資料』五十年後の1990〜95年に当時の調査対象村の中から5箇所を選んで、再調査している研究をまとめた共著。
都市から発信された中国の現代史は数多いけど、村からの一般向け研究本も僅かながら出版されていた。


対象の5箇所の現地名は北京市の順義県 沙井村。同じく北京市房山区 呉店村。 天津市静海県 馮家村。河北省欒城県 寺北柴村。 山東省平原県 後夏寨村。一部80年代からの各村の変化も記している、北京市郊外の村は90年代にベッドタウン化。おそらく今は更に変わっていると推察。
1940年の日本の占領下はタテマエ、国民党と共産党の三つ巴の不安定な状況なので、調査は日本軍が治安している村を選んだそう。
北京市郊外は友好的だったそう、天津の村は日本軍への被害も被っていて、聞き取り調査は短い。山東省は治安が不安(私服の共産軍に包囲されたそう)で調査打ち切り。
過去の不完全な資料を生かして半世紀近い村の共同体の変遷をたどる。
自衛は農作物の泥棒対策など切実な事から、村でも貧乏な人や粗暴な男を監視役として村が雇う『看青』を紹介。のちに青苗会、打更とも変化する。婚礼の習慣に、基本的には貧しい家がするという、幼い女の子をもらい育て、成長してから結婚する【童養媳】や、教育では民辧教師の苦しい待遇なども紹介している。


村では文革よりもそれ以前の四清運動の方が影響が大きかったという。村の貧困や飢餓を救う働きをする民間宗教の記述も少しあり。白蓮教・三仏教・天主教(カトリックか)

現代中国農村と「共同体」―転換期中国華北農村における社会構造と農民』研究者向けのこちらのほうに1940年当時の写真や、満鉄調査員の証言が載っている。