前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

複製の匠

ナショナルジオグラフィック チャンネルでFaking Chaina 中国の贋物を視る。ニセモノといっても現代の海賊版ブランド商品ではなく、オークションで億単位の値が付く骨董品の贋物作りの技術革新を紹介する。書画から陶磁器まで具体的に骨董品の『作り方』あれこれを実演して見せてくれるのが面白い。


一番驚いた技は、レーザー光線で素材の年代測定をするTL法に対抗して、贋物にX線を照射して測定結果を古くしている紹介。病院の施設で試しに長時間照射した物は、測定結果が4000年前と古くなりすぎたのもご愛嬌。
最新の贋物鑑定では釉薬の要素検査を使っているそう。インタビューに答えるニセモノ作りの人は難易度が高くなるほどチャレンジ精神をかき立てられるらしい。
やきもので有名な景徳鎮の取材では、10の国営陶磁器工場のほとんどが閉鎖になって、優秀な職人は個人で陶磁器つくりをしていた。凝った工房では、古くからの素材の土と鉱物を水車で砕いた釉薬を使って、職人が見事な複製を作っている。近代施設の窯ではガスで均一に焼くと、微妙に光沢が違うらしく、火加減が難しい木を燃料にした窯の紹介もあり。松から出る油分がやきものに独特の質感を出すらしい。


時代を古く見せる技には、酸や泥水に浸ける、土や灰を付ける、玉砂利などに入れてキズ付け回すナドナド。発掘された骨董品に見せるために、過マンガン酸カリウムに浸ける・・・という妙に具体的な紹介もあった。


中国のピカソとも称される画家 張 大千(1899〜1983)の行なっていた創作活動と平行した書画の贋物作り紹介もあり。