前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

選挙参謀

三夜連続で選挙関連本を読んだら悪夢を見た。


選挙参謀、手の内のすべて―こうして議員をつくる】鈴木精七:著 講談社95年刊asin:4062076667
山口敏夫小沢一郎など数多くの政治家の初選挙で参謀を務めた著者の選挙戦術指南書。
立候補者の後援会立ち上げと育成、組織を具合良く纏める掌握術あれこれが饒舌で面白い。ベテランのウグイス嬢は「死ぬ気で皆様に〜頑張ります」とか歯の浮くような言葉を連発するので、ヘタでも馴れないアナウンスの方が聴く人の心に届くとか、実直な素人を引き入れて選挙応援でヤリガイの快感を覚えさせれば、あとは倍々ゲームで人材は増えていく〜、という持論が具体例で展開されている。応対室でのお茶菓子の節約術とか、細かい知恵にも笑わされる。


宗教団体とかビジネスモデルに共通する集団掌握術とも思える。
著者は別冊宝島「選挙だ!!選挙だ」のインタビューに答えて、政治活動を「麻薬」にもたとえている。選挙応援で一体感と快感を覚えた人間は一度現場から離れても、次の選挙戦には戻ってくるという。




【最新選挙立候補マニュアル 選挙参謀はいりません】三浦博史:著 ビジネス社05年刊
最新選挙立候補マニュアル―選挙参謀はいりません
ほんとうにマニュアル本なのが驚く。立候補決意から選挙結果後のアフターケアまでの流れがスケジュール表と共に整然と書かれている。選挙運動のボランティア募集用チラシ例とか、街頭演説アンケート(三択箇所にペンを使わず指で穴をあける用紙)見本とか、知らず選挙法に違反しないためのアドバイス多数。公開討論会での罠や対応方法も興味深い。政党色が嫌われる現在では献金を集めるためのホテルでのパーティも、今後は気軽な持ち寄りでの集会に移行すると予測している。
旧来の選挙プロや「ドブ板選挙」戦術を批判しながら、最新の道具やメール・ネットを活用した選挙方法を紹介している。


アメリカ仕込みの選挙プランナーという著者は、選挙戦を変わったルールをもつスポーツにもなぞらえている。相手の得意政策を取り込んで論点をぼかすトライアンギュレーションという戦術が確立されてる事を知る。
ただ人から人へ伝わる「熱伝導」という言い方をしても、旧来の選挙プロ(上記の著者)の心理と大きな違いはないように思う。