前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

引き裂かれた"祖国" 〜イラク・悲しみと憎悪の間で〜

BS-hiの番組「フロンティア」海外ドキュメンタリーIraq in Fragments
重たい三部構成を3日かけて観る。第一部は喫茶店で働く子供の日常を、第二部では宗教指導者サドル氏の信奉者たちを取材している。


第三章 「父と息子の憂い 〜北部・クルド人自治区〜」で、達観した老人や、夢と現実を語る少年たちの声を字幕込みで聴く。選挙の投票所での老若男女の大混乱が妙に新鮮に映る。学校を辞めてレンガ工場へ働きに行くクルド人の少年のジャージの背中に漢字で学校名が映っていた。検索したら台湾の高校「萬能工商専科学校」だった。難民への援助物資かリサイクル商品かは不明。こうして自分たちの生活用品が知らずに世界各地で大事に使われてるのだろう。


番組の最後に制作ディレクターのインタビューがあった。質問に答えて、長い取材中に脅迫や関係者の死もあったと言いながら、映像から受ける印象と違ってイラクのほとんどの人達は世話好きだった事も語っている。
第二部など見ると、陳腐な狂信者たちのイメージを補強するような作品になっているけど、前後に違った環境に住む子供の日常を挟む構成で、混濁した未来らしきものが写されている。