東西すきま寄席
『落語案内 (1982年)』
二代目桂小南の自伝と落語ガイドの内容。亡くなられてから古書店で買ったと思う。
「ふぐ鍋」をいつ何処で聴いたのか憶えていないけど、東京に暮すなかで上方落語に初めて触れた噺だった。しかし本書では江戸でも上方でもない「小南落語」ですと断っている。全国の学校を廻る寄席をはじめた第一人者と知る。
上方の滑稽噺から江戸に移植された噺も多いのに、昔の芸人は東西の縄張り意識と偏見が強い。お国訛りを矯正して演じた「江戸落語」から、復興途上の上方落語へ学び直して作り出された「桂小南」の芸。
演じた「ふぐ鍋」は飄々とした滑稽な好い芸だった。乞食がサゲにつながる役で出てくるので今現在は演じ難いと思うけど。もったいない噺。