前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

映画を喰らわば皿まで

録画分からイラン映画・マジッド・マジディ監督「少女の髪どめ」原題 Baranを観る。
(2001年モントリオール国際映画祭グランプリ。昨日観た「オフサイド」は今年のベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作。)
少女の髪どめ [DVD]

ソ連軍のアフガニスタン侵攻から内戦が長引いてイランへ流れた無数のアフガン難民達、賃金の安い不法労働者(よく働く)として、イラン人労働者達にはよく思われていない。建築現場で給料未払いで働かされているイラン人の青年が、アフガンの小僧だと思っていた少女に仕事を奪われるところで、それが描かれている。イラン国内での映画上映ではどういう反応だったのかな・・・と。物語としては青年が「アフガン人への偏見から、少女に恋したことで一転し、難民達の厳しい暮らしをだんだん知って苦しむ」のが芯になっている。イラン国内でそれはどこまで現実的に受け止められたのだろうか?マフマルバフ監督の「サイクリスト」もアフガン難民の家族の物語で、イラン国内で映画興行もヒットしたというので、外国の映画賞〜よりもその辺が気になる。


印象に残るシーンは、真冬の川の護岸工事。少女を含めたアフガン難民の女性達が重労働している現場を、片思いの青年が隠れて見つめている箇所。ここで観客は彼の眼を借りる(はず)。
「報われない恋」よりも、こういう身も凍える極限状況に難民を放置し無視し続けた世界へのメッセージを感じる。
青年が自分の身分証を闇市場で売った金で、知らずに彼女たち家族は内戦の止まないアフガンに戻ることになるラスト。
物語と現実を混同してしまう。この後の9・11と英米軍のアフガン攻撃(一方的な爆撃と銃撃)。テロとの戦いをいち早く支持した日本政府の共犯行為と、無力感の一市民。
恋愛映画とは思えない後ろ指刺されぶり。敗北感で休日終わる。