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- 作者: タチアーナポポーヴァ,Tatiyana Popova,鈴木玲子,山内聡子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/11/01
- メディア: 単行本
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人質になっていたロシア人ジャーナリストの著作。長い3日間の監禁状況と、外の世界、テレビやネットのニュースで速報・誤報された情報の記録を載せている。当時、犯人側と交渉にあたった日系政治家イリーナ・ハカマダの事件当時のインタビューも。
劇場占領後すぐに、観客達へ携帯電話で家族へ話せと命令していた事を知る。著者が視た犯人グループは、体つきも戦闘者とはおおよそ違って、綺麗な手も華奢でおおよそテロリストのイメージとは違っていた。
不衛生なオーケストラボックスでの簡易トイレや、犯人の感情の起伏と暴力のなか、被害者が長時間の軟禁で犯人側に同情、共感するといわれるストックホルムシンドロームまでの、淡々とした情景描写もあり。外国人は敵ではない、として席を分けたりもしていたが、結局解放はされなかった。
ロシア人のチェチェンへのイメージはTV報道の残虐シーンなどから作られている事を知る。この本は著者がはじめに断っているように、生き延びた観客側の「個人的」感覚の記録なので、社会問題など大風呂敷に広げて語っていない。強行突入で犯人42人全員射殺・人質約800名中129人が死亡。ほとんどが特殊部隊が突入の直前に使った麻酔ガスが元で死んでいる。チェチェンで強行な対応をするほどロシア国内でのプーチンの支持率は上がる。
(NHKBS−Hiでの放送は、事件から四年目に合わせたのか?)