前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

気が滅入る人物伝2

来年の都知事選を想像すると気が滅入る今日この頃。またぞろ弱い対立候補しか出そうもないので。自公連立対野党もそうだけど、究極の選択以前のあまりに細くて弱すぎる選挙ばかり。

前回の2003年3月都知事選挙の四ヶ月前に出された複数の執筆者による批判本。当時は石原新党を作って首相待望論なるムードが一部であったので、それへの対決も強い。
正攻法の慎太郎検証本だと思う斉藤貴男著「空疎な小皇帝―「石原慎太郎」という問題 (ちくま文庫)」からの引用と広げ方も多い。石原慎太郎の自伝「国家なる幻影」や雑誌の対談から引用して、繰り返し批判しているところは、読んでいて違和感がある。重要な慎太郎グループの人間関係の変遷は、とても興味深い。のだけど、私怨がにじみ出る文章では反体制派の「ファシスト!」とか手垢のついた悪口とそう変わらない印象になってしまう。むしろその空気を助長する心配もあり。



国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国策捜査で外務省に売られた経緯と、四季の拘置所くらし、取調べ検事との友情などが中心に書かれている。鈴木宗男氏への心情はかなり退くけど、私小説なところを差し引いても充分興味深い内容。
本書のメインとは外れて、特に自分が気になった部分をアンダーライン付けて書き出す。P75で信頼できる外務省官僚との会話で相手のセリフ

(中略)新聞は婆さん(当時の田中真紀子外相)の危うさについてきちんと書いているんだけど、日本の実質識字率は5%だから、新聞は影響力を持たない。ワイドショーと週刊誌の中吊り広告で物事は動いていく。残念ながらそういったところだね。その状況で、さてこちらはお国のために何ができるかということだが・・・・」

最後の「国益」を考えてる姿勢は著者が繰り返し書いている。その持って行き方は、頭脳明晰にしては論理的じゃないんだけど。