前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

東京ローズ

東京ローズ 新装版』ドウズ昌代(著)文芸春秋90年刊を読む。


太平洋戦争時の米軍兵向け謀略放送をしたとされる「ひとりの東京ローズ」は実在しなかった。当時のNHKに勤める女性英語アナウンサーは複数居た(ほとんど素人)。しかし激戦地でラジオを聴いていた米兵達には敵国から流される女性アナウンサーの声に、激しい妄想と伝説が膨らんでいた。終戦直後に日本に一番乗りした米国メディアのスクープ合戦のなかで、ひとりの日系二世女性が二人の記者によって「東京ローズ」と断定し取材・捏造される。


昭和16年、親類の介護の為にアメリカから日本へ渡航した日系二世の彼女は日本語もおぼつかなく、開戦と同時に帰れなくなる。戦時下に度重なる特高の嫌がらせを耐えてまでして日本国籍を取らなかったという。アメリカに忠誠を誓ったというよりも、それくらい当時の日本が嫌いだったともいえる。アメリカの家族、母親は日本人収容所で亡くなっている。戦後の巣鴨プリズン拘置も証拠不十分で釈放、念願の「帰国」をするも、黄渦〜反日の強い世論のなかでアメリカ国籍を剥奪され長年反逆罪の汚名を着ることになる。6年に渡る服役。味方になるはずの全米日系市民協会は、関わりを恐れて長年無関心で通していたとのこと。
(後記)9月26日米国発の報道で東京ローズと呼ばれた「アイバ・戸栗・ダキノ」さん亡くなる。




アメリカ社会ならこれくらいの暴挙は平気でやりそう。そんな変な「馴れ」が自分にある事自体に戸惑う。雑多なアメリカ人にとって国家に忠誠を誓うことは、義務というより「脅迫」に近いのだと思える。人種のるつぼで本音は人種差別の感情を抑えている、そこに戦時体制が起きると正々堂々と偏見と弾圧がまかり通る。仮想敵国人が現時点ではイスラム教徒になっている。呆れた狂気の十字軍。


この本によると戦時期のアメコミ本のスーパーマンの話に悪役として東京ローズが出てくる(現実は悪の新聞記者に東京ローズは酷い目にあってるぞ)とのこと。それが視たくて色々イメージ検索を掛けてみる。そのシーンは見つけられないけど、面白いサイトを見つけたので無断リンク
「Offensive Cartoons of the 1940's: Racist & Patriotic Fun」
このサイト下にリンクされている「superdickery.com」
プロパガンダ〜のギャラリーでアメコミヒーローVS日本軍&ナチのトビラ絵が大量に閲覧可。漫画で愛国馬鹿って万国共通なんだな。