中国映画の全貌2006終わって
余韻が残るのは「青い凧」「鬼が来た!」
先日、図書館でなにげな〜く手にした『映画でチャイニーズ―中国映画30本+チャイニーズ』映画でワンポイント中国語レッスン本に、「青い凧」の日本公開時の状況が書かれていた。映画祭と日中の業界交流断絶とオトナの事情に、ナルホドと苦い感慨を受ける。
- 作者: 香川照之
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 2002/04/26
- メディア: 単行本
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撮影現場で監督のスタッフの一人がいきなり「ぶっ殺してやる」と斧を振りかざして傷害未遂を起こす、訊けば彼は日頃から斧を持ち歩き(おいおい)金を貯めていつの日か妻の浮気相手を殺しに行く、ために生きているという。それが「夢」なんだとか・・・・・・・・・・・・。
無論どこまで偶発的な現実で、どこまで監督の演出なのか判らない。
台本は随時書き直しの連続。自分が劇中で不自然だと思った村の宴会シーンでの急展開は、やはり日本人キャストにも納得できなかったらしい。ただ、監督の語る当時の兵士の心情、はとても腑に落ちる。当時の日本で一地方のひとりの農民が軍に召集され戦地で激しいビンタやシゴキを受けながら、修羅場をくぐってある日気がつくと兵士になっている。上官への愛憎と日頃の怒りの捌け口になる占領地住民への暴力、こんな状況に置かれて人間性など説明しようもない。旧日本兵を取材した当時の記憶がセリフとして散りばめられている。日中のお互いを罵る本音が機関銃のように口をつく。傷つくことを覚悟で。
再訪中してまで撮った「現在」に繋がるラストの解釈はとても難しい。なぜカットになったかも含めて。
映画を観ただけなのに、なんでここまで無い脳みそで考え込まなきゃいけないのか。わからない。