前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

夜から三百人劇場へ中国映画の全貌2006
鬼が来た!」鬼子来了2000年作品
上映最終回を視る。単なる映画好きがこの作品を今まで視なかったのは、大多数の日本人と同じ「凹む抗日映画」の先入観があったから。


中国で上映禁止←またかよ)で海外での評価が高い理由は視終わって判った。


あらすじと作品の詳細は日本の公式サイトで⇒


先入観からいつもより更に斜に構えて映画を視たのは間違いなく、それでも細やかな人物描写に感心し、ストーリーには安心もした。村人も日本軍人も、映画に出てくるひとりひとりの所作と言葉が個性的にしっかり描かれている、製作者が多くの旧日本兵を取材して物語にはめ込んだ感触は強い。現実と離して視ることが出来た(ある意味創作で安心した)のは、物語の必然から村人達が優しく臆病に描かれ過ぎていることと、日本軍の指揮官が村で感謝の宴会を開くところ。それでも、ひとつひとつのシーンがありえる所作で、最後まで時間を忘れて観た。


途中に出てくる西太后に仕え首切り役人だった老人の「言い伝え」は笑い処かと思ったが、ラストシーンと重なって不思議な余韻を残す。なぜ誤解を与える「感謝して死んだ」所作を選ぶのか、生者が語る死者の話をあざ笑う荘子の心境なのか。