前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

「青い凧」藍風箏

夜の回上映の「青い凧」藍風箏(中国93年作品)を観に行く。
中国共産党による建国から未だ4年目の1953年北京、風情在る四合院を舞台に、若い男女の結婚が友好国ソ連スターリン死去で10日延びたところから話は始まる。二人の間に生まれる男の子「鉄頭」の回想で、母子を中心に政治の嵐の中の暮らしが描かれる。


ラストの文革でのシーンは予想以上に強烈で、生死不明な終わり方も気になる。これが中国本土で上映禁止なのも納得。それより前の政争と人民同士の密告も生生しく。意外に淡々として拍子抜けしたのは餓死者一千万以上とも言われる大躍進が、実家の家族の会話の中で語られていること。北京で暮す家族たちの物語なので当然なのだけど。


文革での学生達の凶暴な活動はもとより、小学生達を煽動して女性の校長を吊し上げするシーンはスクリーンに恐怖が満ちた。子供達はスローガンを絶叫しながら校庭いっぱいに飛び跳ね、幾つも波になっている。煽動している若造の得意満面な笑顔。彼らにとっては今も青春の想い出なのか。
例え大陸で上映されたとしても、この作品を好んで観たり正視できるとは到底思えない。日本の戦時中と似て、好い想い出は加害者側の中だけに在るだろう。