前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

鶴見俊輔とは

戦争が遺したもの

戦争が遺したもの

社内知識分子お勧め本を読む。2003年に3日間にわたって行なわれた対談本。対談本と言うよりも鶴見俊輔80歳の知識人に下の世代ふたりが「今のうちに」なにもかも訊いておこう、といった重い記録。
本のタイトルはどうかと思うけど、聞き手に信頼をおいて今だから話せる、話し遺しておこうとする鶴見氏の記憶に名前をつけるのは難しい。あらゆるジャンルの著名人との親交、自身の家庭環境の赤裸々な話も多い。対話の中で何度も「民主と愛国」を絶賛されている小熊英二は、鶴見氏の著作はもとより交友関係の著作と編集の仕事関連まで精読している、インタビュー相手へのこの礼儀は理想ではあるけど大変なもの。上野千鶴子は戦中戦後の慰安婦問題などで、予想通り鶴見氏へ憲兵の尋問のような問い質し方で、短い対談だったら心象悪い事態になっているはずが、丸3日の対談文だと案外愛嬌のある人柄も伝わる。