前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

自己中視聴者より

ETV特集「ある人間(アイヌ)からの問いかけ 萱野茂のメッセージ」を視る。


アイヌ語復興と民族の存在を取り戻す、という観点から三部構成で作られた追悼ドキュメンタリー。
なによりNHKの豊富な過去の番組映像を詰めて作られていたのに圧倒。萱野さんの祖母が蛙踊り?をしている昭和初期の映像まであった。力漲る青年時代から最晩年のインタビューまで、暮らしの中で相当取材に時間を割かれたのは『伝承者』としての責務からか。先輩格の貝澤正エカシの生前の肉声と、アイヌ式の葬儀の一部まで収録されていた。
二風谷ダム裁判から国家に対してアイヌを「先住民族」と認知させるまでの長い闘い。この経緯を本ではなく映像に詰めて観れた(放映された)のは、感慨深い。92年に社会党から比例代表参議院議員候補に擁立された時の、ゴタゴタと当時の北海道支部の本音が聞けたのは儲けもの。


番組の最後には予想通り「亡くなってもアイヌ語の継承は続いています」といった締め方だった。アイヌ出身の青年が地元では未だ差別が強いのに都会で「かっこいい」とか言われて戸惑う話には色々考える。なんだか神秘な力を使える民族とかイメージがあるのだろうか、これを侮辱と取らずにこの軽さに便乗して民族の伝統芸を復興しても好いのではないかとか、部外者として勝手に考える。奪われた歴史を知らしめる事はそれにさりげなく混ぜて、などと。