渡る渡世はコスモポリタン
- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2001/07/01
- メディア: 単行本
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久々に読み返す本。30数年振りに探す小学生時代の仲良し同級生3人の記憶と現在。安否が分っているからか、安心して細かい処も読み込めた。学校と子供について色々思う。多国籍の教室で生まれる世界観の裏と、傷つき易い祖国への愛国心などなど、オトナ社会・教育者側の見え透いた思惑など子供には見破られ遊ばれている。小賢しい教育方針などいつの時代も反面教師にしかならないと思える。
パパは人民の為に戦っている。と言うクラスメートの豪邸には、ケーキを焼いてくれるお手伝いさんが居る。もの凄い欺瞞なのだけど本人に自覚が無い。嘘をつくときの堂々とした仕草はオトナになっても同じだった。
この真っ赤な真実は「世界の貧困をなくす」とか「独裁政権を民主化する」とか今に生きている。ユーゴスラビアでの再会地はコソボ空爆に繋がってしまう場所、「会えてよかったですね」じゃ済まない今と未来へ意識を繋いでしまう。NATOによる『人道的軍事侵攻』空爆は市民を巻き込んだうえに、双方の殺し合いが激化した。自分個人のなかで国際貢献は大量殺戮と同義語なくらい赤く染まっている。学校というチェーン店では、愛国教育や国際人養成などの異臭を放つ素材を大量に喰って吐いて、自分個人の地球儀を育てるしかない。こどもは国の政策や教育者の考えに洗脳されるほど素直じゃないから心配無用。