前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

血統書イラズ

今最も関心の在るところはアイヌから繋がる北アジア・シベリアのオロチョン・エヴェンキ・ニヴヒの稿。東アジアという広範囲の民族紹介の中で77ページ分を台湾原住民に割いている。アミ・プユマ・ツォウ・ルカイ・タオ(ヤミ)の各担当者による歴史的経緯と現状報告。装飾に見栄えがするルカイとパイワンの違いの難しさや、タオの核廃棄物貯蔵施設、『辺境の民〜』過去日記も気になるところ。なにより卑南プユマ/ピヌユマヤンの住民運動アイデンティティの稿で眼が留まる。

また近年、音楽面でも、アーメイの愛称で親しまれる張恵妹、陳建年、サミンガといった超人気歌手を輩出している。


jingさんのブログで知った「ノンフィクションの現場を歩く―台湾原住民族と日本 (かわさき市民アカデミー講座ブックレット)柳本通彦(著)は、市民講座の講演2回分からブックレット化したもの。安いので即買い。
ちゃんとした書評は「自知之明」


(記ス逃げ口上)
台湾全体で原住民の人口自体は少ないながら、広範囲に現存できた理由として特殊な地形を挙げている。大地震を頻発する活断層が島を走って、高低差が強い立体的な島であることは漢民族の居住区を自ずと制限させてきたという。




最近読んだ『謎の王国・渤海―「東アジアの中の日本」をさぐる (角川選書)』は91年に開催されたシンポジゥムを纏めた本。渤海王国は日本の平安時代と同時期に中国東北部を縦長に存在した国。有名な遣唐使よりも渤海使の方が頻繁だったり、知らない内容満載。特に火山の噴火の分析と国の衰退を読み解く報告は興味深い。朝鮮民族の心の古里?白頭山の千年前の大噴火は相当な規模だったらしく、王国の滅亡に関係があると推測。日本の本州北部にまで大陸から流れて来た火山灰の体積が広く残っている。[解り易いサイト]


火山噴火と歴史的事件に関連して、15世紀に起きた当時の北海道で火山噴火3箇所の話が繋がる。飛散した範囲を地質調査して、文献でのアイヌの紛争と和人への蜂起が、丁度その場所とその時期に集中していると言及している。科学分析と文献のすり合わせは大切と知りながら、これは眼から鱗。
蜂起の要因は民族間の対立のみでも、自然災害のみでも、言葉が足りない事を教えてくれる。
ま、それはそれでズルイ言い訳。水に流せないけど溶岩ならどう?みたいな。