前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

ラーゲリ註解事典

ラーゲリ(強制収容所)註解事典』を図書館で借りて読んでいる。表紙には笑顔の老人(著者のジャック・ロッシ氏)の写真が重たい本の題名と不釣合いに見えた、でもそれが本の内容を表している。既にある強制収容所への告発、という体裁ではなく、実体験を元にソ連時代の収容所の「マルチ辞典」になっている。そこには給食データから隠語から反射神経で笑うしかない断片が散りばめられている。強制収容所という自由を剥奪された地で、人のしたたかさが逆に目立つ。殆ど管理側だけど。


ハルビン人」として元東清鉄道関係者だったロシア人達は帰国すると『日本のスパイ』とされ刑を受けた、と書かれている。著者は1949年のバイカル近くの収容所でシベリア抑留の元日本兵達と出会っている。辞書・解説ながら興味深い話は多い。この本の日本語版が出された97年来日しての講演は通訳に故米原さんだったと先程知る。




このブログのタイトルがアレなので、「スターリン」で検索される事は多いけど、昨日分はそっくりさん死亡ニュースで異常な件数アクセスされた。閲覧者はココを信奉者と決め付けたかな、と思うとアクセス件数増加は喜べない。
スターリン個人には想い入れはないけど、軍隊や一人の指導者に大量殺人の罪を着せるのは傲慢だと思っている。スターリン時代の重たい回想本を読むたびに思う事は、民衆側の体制へのおもねり、相互監視と密告・謀略・役得の犯罪など、この大勢の協力なしでは『恐怖政治』は行なえないという事実。


ポルポト時代の犯罪を国際法廷で裁くという計画がある、その報道を日本の戦時中の隣組特高などの行為と繋げて想像する。戦後生き延びた「何の罪も無い国民」のなかにも弾圧虐殺への協力者は大勢居るだろう、と。


ラーゲリ〜辞典」の囚人の罪名あれこれで紹介されている中に、『密告しない怠慢の罪で』てのがあった。
言葉の便宜性ってば・・・。