永遠に完成しない頭の中の「満洲」
流石に満州関連は膨大な数が出版されている。便利な色眼鏡で見れば〜系とか分類は可能だろうけど、それでは読み手の幼稚さが知れてしまう。入門本や研究本の出版は増え続け、それを読み齧っても断片的なイメージしか掴めないが、気になる人脈は増えては行く。個人の回顧録から、満洲の各機関の詳細な研究など、途中で読むのを諦めた本も多数あり。
- 作者: 西沢泰彦
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1996/08
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 作者: 川村湊
- 出版社/メーカー: ネスコ
- 発売日: 1998/08
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
- 作者: 小林慶二,福井理文
- 出版社/メーカー: 高文研
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 単行本
- クリック: 31回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
個人的に衝撃だった部分を二箇所メモ。
理想と現実が乖離した満洲建国大学の在籍者には後の韓国ノテウ政権で首相を務めたカン・ヨンフンと寮で同室だったというのが上野英信。戦後「地の底の笑い話 (岩波新書)」など筑豊の炭鉱を転々としながら働く仲間たちの生き様を書いた。これ自体古い本ではあるけど、昔知人から是非読んどけと貰って読んだ本の著者。建国大学在学中に召集され広島で被爆という経緯をこの本『観光〜』で知る。炭鉱町撫順も満洲出身者の原風景なのか。
韓中首脳会談でのオフレコ話から、辿って調べ江沢民前主席の養父が当時南京近くで「日本の憲兵隊に殺された」事が書かれている。就任当時の日中間の険悪ムードがこれだと腑に落ちる。あまり広く知られていないのは外交を私怨と受け取られかねないからだったのか、謎だしこの史実を断定もできない。