スハルトファミリーの蓄財
- 作者: 村井吉敬,久保康之,佐伯奈津子,間瀬朋子
- 出版社/メーカー: コモンズ
- 発売日: 1999/11
- メディア: 単行本
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子から孫へ家族ぐるみで森林再生基金を使いこんだり、長女が絡んでいる有料道路の利権の構図は日本の真似かとも思う。
縁故絡みのアンドロメダ銀行、というネーミングにもビックリ。海外に日本円で1兆円以上の資産隠しがある大富豪と伝えられる。
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民主化運動後にスハルトの愚息は自分に不利な判決を下した最高裁判事を暗殺までさせている。禁固刑は出されてもこの自由な暴力に司法側は萎縮する。
戦後賠償から政府開発援助への流れ、80年代から既に独裁政権への政府開発援助の汚職と暴力には、著者をはじめフィールドワークの研究者から警鐘され続けていた。それを日本のメディアが延々拾わない、商社や企業を実名報道しないのは、優良広告主への配慮だろう。企業側は実態を改めるよりも、環境に優しいイメージCMに金を出す。外務省はODAについて検証どころか、正当化する広報により力を入れている。
フィリピンでの民主化運動のマルコス政権失脚時も、日本国内では宮殿内の「イメルダ夫人の靴コレクション」ばかり話題に残った。確かに不正に使われた「納税者の怒り」とやらを南の群島へ向けるのは想像力が居る。でもチリの愛人アニータとか、オヤジジャーナリズムの利権への嫉妬は成り立つらしい。この際そんな情動でも煽ってやりたくなる。