前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

イラク、わが故郷 亡命者サマーワへ帰る

晴れの土曜日。仕事休んでアラブ映画祭2006へ。
ドキュメンタリーイラク、わが故郷 亡命者サマーワへ帰る」
イラク戦争後の長編作「夢 dreams」
内容はリンク先からどうぞ。どちらも鑑賞が消化不良だったので来日している二人の監督をゲストにしたイラク映画シンポジゥムも参加・・・、これ、正直書きたくない。







イラク、わが故郷〜」は日本の自衛隊が出てくるという事で、ニュース映像以外のシーンを期待していたが、遺跡を破壊から守る任務と、地元商店街?との七夕まつりの二つのみ。隊長のスピーチで日本のテレビ局のマイクも映っていたので、二つともニュース番組で使われたと思う。オランダ軍の同行取材は短いながら、パトロールと地元住民とのかみ合わないやり取りが普通に撮れている。
サマーワ自衛隊は「日本人観客」の関心事になるわけで、シンポジウムの会場での質疑応答が予想通り歪んだ事態になった。作品への質問ではなく、質問者達の自己主張が重なって続く。


創作映画の「夢」を撮った27歳の若い監督が制作話で語ったように、バクダッドで『カメラを持つ事(向けること)』が、相手に敵意を持たれることになる。イスラム急進派でも、フセインバース党員でも、民間警察でも、米軍でも、自分たちに敵対するようなプロパガンダ映画を作っていると思われ、何度も拉致や尋問、暴力を受けたという。


財団という限界で、紹介する映画がどうしても対象国の社会問題や文化を扱う、大衆離れな作品になるのは、残念で当然のこと。アラブ映画祭というなら、現地でヒットした娯楽映画を数本入れて観客動員に使ってもよいだろうと(むしろそれが観たい)思うのだけど、今回の上映は予想以上に「自衛隊派遣イラク政策を正当化する」イベントだとか拡大解釈したお客を誘引してしまった模様。この財団主催のイスラム理解講座を重宝している一個人として、主催者側に同情する。


「カメラを持つ事が相手に敵意を与えること」