前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

民族音楽紀行

小泉文夫著作選集(3) 民族音楽紀行 エスキモーの歌 小泉文夫著作選集3(78年出版の復刻)
音楽留学や民族音楽の採集の旅など短いエッセイを集めたもの。
エスキモー(現イヌイット)は音痴だと嘆く白人の音楽教師の話など、著者は日本の学校での音楽教育事情と重ねて、西洋音階で民族の音感を壊していく危惧を感じている。


残っていくものは『観光』に特化された踊りや土産物だけ・・・という実情はふつうに在る。


ナイル上流、上エジプトの村へ哭(泣き)女たちの葬式での歌をテープ採集に行き、録音後に謝礼の金額でモメて村中から石を投げられ逃げたりして、砂だらけの機材と疲労を想像する。先人の苦労を今ありがたく頂いている。葬儀の歌は別にして、更に南のヌビア地方でのハムザ・エルディンの乾いた弦楽器演奏など、CDの時代になってから乾燥した空気まで再現(幻聴)できるようになった。インドの打楽器タブラなど変幻自在な音もデジタル録音以降に、安い音響装置でも凄みを感じられるようになった。


今は自宅に居てもPCで世界の音楽を拾って聴ける有難さ。