シルクロードの朝鮮人

『シルクロードの朝鮮人』スターリンと日本による1937年秋の悲劇　金賛汀著ISBN:4795810923
89年に在日の著者が旧ソ連邦中央アジアのカザフスタンへ行き、
現地の高麗人・朝鮮族の取材をしてまとめたもの。
20世紀の始め日本の朝鮮統治と貧困などで新天地を求めた人々が中国ソ連国境の沿海州に移住する。苦労して土地を開墾し根付いたた途端に、中央の方針で朝鮮人＝日帝のスパイ『敵性民族』とされ、鉄道貨物に詰まれ遠方の僻地カザフへ強制移住させられる。その数１８万人と書かれている。

副題でイメージするような日本への恨みの記述は皆無。、強制移住の状況やその後どうやって生き延びたかなど、様々な立場の人に取材している。
いわれの無い罪で家族や仲間が拘束・拷問・行方不明とされる中、ソ連への忠誠心をアピールしようとした若者たちが、戦線として送り込まれた処はシベリアの伐採労働だった。シベリア抑留の日本人兵と隣り合わせの現場もあったという。このモザイク状の歴史に目眩。

スラブ研究４５号　に同じテーマで98年に書かれた研究レポートが載っている。

急逝した伝説のロックスター「ヴィクトル・ツォイ」の父方がこの移住集団の中に居たのだろう。
■政情不安ながら独立後は韓国企業が進出しているという。

ついでに思い出した映画・・・・